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  評価のQ&A 29

 
   

151.勤務態度考課の評価段階

 
   

 当社では能力主義の人事考課を行っています。各考課項目とも5段階(1〜5)評価で行っていますが、勤務態度考課(規律性、責任性、協調性、積極性)の基準では、共に5の評価は該当しないとなっています。

 こちらのホームページでも5段階評価(SABCD)にもかかわらず、規律性、責任性などの情意考課では「S」は発生しないとなっています。この「S」は発生しない、「5は該当しない」というのはどのような考えによるものでしょうか。

 勤務態度考課の評価段階の件ですが、会社の決め事ですから、5段階でも10段階でもいいと思います。ただ、絶対考課で行うのであれば、各段階の定義を明確にする必要があります。

 「B・3」を期待通りとした場合「A・4」は期待を上回る、申し分ない、ということになります。ここまでは問題ありません

 それでは、「S・5」はどうなるでしょうか。  「S・5」を「かなり上回る」とした場合、「かなり」とはどの程度のことをいうのでしょうか。ちょっと、想定がつきません。そこで、「S・5」は上位等級として「A・4」に該当すると定義することにします。

 ちなみに、「C・2」は期待を下回る「D・1」は「大幅に下回る」ではなく、「期待を下回りさらに業務に支障をきたす程度」と定義します。

 このような定義の仕方は、5段階評価で行っている多くの企業で採用されている考え方で、多分、ご相談者の企業も同じだと思います。このHPの「能力主義の人事考課」の考え方でも同じです。

 で、ここまでは、よろしいかと思います。  能力や成績の場合については、等級ごとに求めるものがちがいますので、これでいいのですが、勤務態度考課の場合はどうでしょうか。

 例えば、1等級と2等級では、求める勤務態度の基準がちがうのでしょうか。 行う仕事や求める能力はちがっても、規則を守ることや、仕事を一生懸命することなど、期待水準は同じではないではないでしょうか。

 1等級と2等級と期待水準が同じであれば、上位等級として「A・4」という考え方は、通用しません。 したがって、「S・5」は該当しないということになります。

 逆に、等級ごとに求める勤務態度の基準が違い、それを定義できるのであれば、上位等級として「A・4」という考え方が通用します。社内で作成すれば「S・5」を意義付けることができます。 (他社では見たことがありませんが)

 

 
   

152.人事考課の調整

 
   

 人事考課の結果、各部門でバラツキがあります。技術系、事務系等部門間で平均点に差があり、全社一括で評価した場合に妥当かどうか疑問が残ります。このような場合、どうやって部門間格差を是正するのでしょうか。

 ご相談にお答えします。

 人事考課の調整は、「評価基準の明確化」や「考課者訓練」など事前に行う「事前調整」をしっかり実施すべきであり、考課後の「事後調整」は、理屈上は意味がないものです。

 しかし、実際は、評価基準の不明確や考課力不足のため、甘辛やバラツキが生じ、処遇に活用するとき、事後調整せざるを得ない場合が見受けられます。この場合、次善の策として次のような方法で調整を行います。

1.数学的手法で行う

・ 各集団の平均値を求め、全体の平均点との差を個人の点数にプラスマイナスする。
・ 各集団の平均値を求め、目標平均点60点との差を個人の点数にプラスマイナスする。
・ 各個人の偏差値を求め、その点数で使う。

2.人物比較法

・ 事前に等級ごとに標準人物を選定し、その標準者と各集団から3〜4人選定し人を比較して、甘辛度をチェックする。特に問題なければ、その集団からの考課結果を認める。問題ある場合は、その集団全員のチェックを行い再評価する。
・ あるいは、総合評価の区切り点の前後の人に関して、標準者と比較して調整する。

3.事後調整における留意点・・・調整結果のフィードバック

・ 事後調整を行った場合は必ずその結果を考課者にフィードバックすることが必要である。
・ これは、部下の質問に対して説明するためであり、上司として当然知っておく事柄である。
・ また、今後の考課の改善のためにも調整結果をフィードバックすべきである。
・ 特に「あまい」管理者には厳重に注意する必要がある。あまくなる原因は「期待水準の低さ」と「部下へのゴマすり」が考えられるが、管理能力の低い上司ほど期待水準が低くなり、リーダーシップのない管理者ほど部下にゴマをするようになってくる。
 したがって、人事考課の「甘い」管理者は管理者失格であることをしっかり認識させるべきである。

 以上、よろしくお願いします。

 

 
   

153.行動観察メモ

 
   

 この度、人事考課制度を導入することになり、人事考課制度の公平性、納得性を高める為に、考課者には行動観察メモを携帯させて日常の職務における行動の事実を記録してもらうことを義務付けています。

 しかし、人材育成や評価のための行動記録というよりも、揚げ足取りめいたものになってしまっているのが現状です。 また、些細な行動も職務行動のひとつであることには間違いありませんが、評価の対象としていては非常に手間もかかるし、考課者自身の負担も増し、業務に影響が出るのでは、と心配です。

 どのように指導していけば良いのでしょうか?

回答

 人事考課の大原則は「事実に基づく」ということであり、そのために、日ごろから部下(被考課者)の仕事ぶりを観察し、メモすることはとてもよいことであり、大事なことです。

すなわち、「事実の基づく、そのためには事実を記録する。さらに、そのために日ごろかが部下の仕事ぶりをよく観察する。」ということになります。

 ここまでは十分ご承知のことと思います。色々な本にも書いてありますから、・・・。

 大事なのは、人事考課をすることではなく、人事考課という仕組みを使って、業績が上がるようにする、またそのように人材のレベルアップを図ることです。

 仮に、人事考課の仕組みがなくても、管理監督者は日ごろから部下の仕事ぶりをよく見て、叱る、ほめる、注意するなどのアクションを起こして、部下の指導や育成を図っているはずです。

 まず、そのような管理活動をしっかり行うことが先決です。このように行った結果をメモして、評価にも活用するということであり、人事考課のために「部下を観察しメモする」わけではありません。

 まして、叱る、ほめる、注意するなどのアクションを起こさず、こっそりメモして、評価に連動するようなことがあれば、逆に不信感を高め逆効果になってしまいます。

人事考課の前に管理監督者としての意識の向上と、管理監督者としての能力の向上を行う必要があります。

 「業績を上げるために、管理監督者がしっかりと管理監督業務を行う。この管理監督業務をしっかり行うためのひとつの手法として人事考課という仕組みを利用する。」という風に考えるとよいと思います。


管理者の役割と人事考課については、下記ホームページで解説しています。
http://www.sabcd.com/02jinnji/35teiann.htm#23

以上、よろしくお願いいたします。

 
   

154.中小企業退職金共済制度

 
   

 今年度中小企業退職金共済制度を取り入れようと考えています。それに伴い会社としてやらなくてはならない事とか、注意点を教えてください。 もちろん費用面は大丈夫ですし、規程も作ろうとしています。

お答えします。

 退職金制度を導入なさるのであれば、 中小企業退職金共済制度(略称:中退金)を利用されるのが、一番よいと思います。 特徴や仕組みはホームページでご確認ください。

勤労者退職共済事業本部
 http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/

私の感想は次の通りです。

メリット

・ 掛金は全額損金処理できる。(個人事業の場合は必要経費扱い)
・ 手続きが簡単。
・ 従業員が他の会社へ移っても、そこが中退金に加入しておれば継続できる。

デメリット

・ 退職金が直接本人へいってしまう。
・ 11ケ月以上掛けないと没収になる。
・ 10年程度の加入期間ではほとんど増えない。
・ 懲戒解雇等で不支給の場合は没収になる。
・ 掛金の管理をしっかり行わないと退職金規定からズレてしまう。

 以上、よろしくお願いします。

 

 
   

155.建設業の人事考課

 
   

 建設業にあった人事考課の事例があれば教えて頂きたいのですが。

 自社の実情に合った制度を考えるのが一番よいと思います。 同じ業種、同じ規模であっても、会社によってそれぞれ解決すべき課題が違います。 「自社の解決すべき課題は何か」をしっかり把握して、その課題解決に見合った制度にすることが大切です。

 工事担当者の評価シートのサンプルを掲載しますので、参考にしてください。

 また、なるべくシンプルで簡単な評価方法がよいと思います。 社員に対する期待像を明確にして、その期待に対して、どうであったかを判定するようにすればよいわけです。

会社から社員に対する期待は、2つあります。

● 期待成果 (期待通りの成果を出してほしいという期待です)
 どんな成果を出して欲しいのか、明確にすればよいわけです。
 これは数値で表現されますから、判定も簡単です。

● 期待行動 (期待通りに業務を進めて欲しいという期待です)
 その仕事をどのように進めて欲しいのか、どのよう仕事ぶりがよいのか明確にすればいいんです。
 これは文章で表現することになりますが、後から判定できるように、表現に気をつける必要があります。

上記の2つは、人事制度の問題ではなくて、 企業として、当然明確にするべきものです。
それを基準にするのが、一番よいと思います。

以上、よろしくお願いします。

 

 
    156.退職金支給につい  
   

 入社当時は社員も多く就業規則がありました。確か、退職金の記述もあったように思います。ただ、今は社員も少なく(10人以下)、就業規則も見当たりません。社長も変わり、退職しようと思っていますが、新社長から退職金は出ないといわれました。過去の退職者はもらっている(会社名義ではなく、前の社長個人として)現実があります。本当に退職金は出ないのでしょうか?(メールアドレスが違っているみたいで返信できませんでしたので、ここに記載します。質問内容は差し障りのない様に変更しています。)

 退職金の件ですが、難しい状況ですね。

 退職金は、「支給するという規定がある場合に規定通りに支給せよ」ということであり、 退職金そのものの支給を義務付けているものはありません。

 退職金支給の根拠になる規定(この場合は就業規則)がないのであれば、支給する必要はない ということになります。

 ただ、
1.以前提示された就業規則には退職金の規定があった。
2.実際に過去の退職者には支給されている。
(会社名義か経営者個人かは他の従業員にはわからないことであり、支払われてという事実がある。)
 ということであれば、それを根拠に、支払い義務が発生する可能性があります。

労働基準監督署に相談されたらいかがでしょうか。

追伸
 過去に支払った退職金が、退職金ではなく、 前経営者の善意として、例えば「個人的な慰労金」という形で支給されており、 他の従業員も退職金ではなくて、前経営者の善意ということを知っている場合は 新しい経家者にその善意を強要することは出来ないでしょう。

以上、お願いします。

 

 
    157.目標のブレークダウンと数値目標  
   

 HPの「部門目標と個人目標の関係」の「目標の体系図」に、数値を割り振った場合は業績目標に、手段を割り振った場合は遂行目標になるとあります。しかしながら、業績目標であっても、定量的な目標と定性的な目標がありますので、一概に「数値の場合は業績目標」と言えないように考えますが、どのように考えればよろしいでしょうか。

 確かに、 業績目標において、定量(数値)目標になることもあれば、定性目標になることもあります。 遂行目標についても、定量(数値)目標になることもあれば、定性目標になることもあります。 したがって、数値目標=業績目標ということではありません。(ご指摘の通りです)

1.業績目標 ・ 到達基準であり、結果を示す目標になる。
・ 実行内容ではなく、実行した結果を示す目標になる。
2.遂行目標 ・ 遂行基準であり、実行内容を示す目標になる。
・ 実行内容を「いつまでに〜〜を、この水準で完了する」というような目標になる。
3.定量目標 ・ 達成水準が数値化された目標であり、客観的に判定することが出来る目標。
4.定性目標    ・ 達成水準を「どのような状態になった時に、達成されたのか」を質的に表現した目標。

 ホームページの記載についてですが、

  部門目標と個人目標(ブレークダウン)の説明をしている内容ですが、 基本的に部門目標は業績目標であるという考えです。
 営業なら売上や粗利、製造なら生産性や不良率の低減、人事なら「新人事制度の導入」という遂行目標ではなく、そのような方策によって、例えば、労働生産性の向上 というような業績目標を想定しています。
 したがって、部門目標は数値になっているなっていないに拘わらず(実際には数値になると思いますが)業績目標であり それを数値の形でブレークダウンした目標は業績目標、 その数値を達成するための手段の形でブレークダウンした目標は遂行目標になると説明しています。

 数値目標だから業績目標ということではありません。
部門目標は業績目標を設定するべきであり、それをブレークダウンした場合、
・ そのまま数値を分割した場合は業績目標
・ 手段方法まで分解した場合は遂行目標という意味です。

 また、これはご質問とは関係ありませんが、 すべてとはいえませんが、業績目標(結果を示す目標)はやはり数値目標にすべきですし 遂行目標(実行内容を示す目標)はムリに数値にしないほうがいいです。

 ムリに数値目標にすると、
・ 数値化しやすい目標ばかり設定され、数値化しにくい重要な目標が欠落する。
・ 数値化するために、内容や効果よりも単純な回数や件数を目標にしてしまう。 という問題が出てきます。
 

 
    158.目標の難易度  
   

 HPの「目標管理カード 」の例を見ますと、目標の難易度を設定するものと設定しないものとがありますが、目標の難易度は設定した方がよいのでしょうか?

 目標管理において、その目標の難易度を設定するかどうかは、各企業の考えによります。どちらでもよいと思います。 ただ、難易度設定という考え方を入れると、その設定の基準が必要になります。

 昔のチャレンジ加点主義の目標管理で動機づけが目的の目標管理であれば、若干ファジーでも運用できましたが 報酬決定の根拠となる目標管理ではファジーというわけにいきません。
 目標の達成度評価以上に、難易度設定の基準と設定の仕方が難しくなります。
 シンプルな制度に逆行します。

 私は、職務給(職務等級制)を採用することを前提に、難易度を考えない方がよいと思います。
その仕事(目標)をするということで、職務等級(職務給)が決まっているのだから、難易度設定は必要ない、ということです。もちろんケースバイケースですが。

 

 
    159.残業の削減方法  
     残業を削減するために、色々検討しているのですが、何か良い方法はないでしょうか?
@ マネージャーの意識が低い。
A 賞与などに反映しようと思っても、「賞与よりは残業を多く欲しい」という意見が多い。
B 必要な残業と不必要な残業が見分けられない。
 という状況で困っています。何かアドバイスをお願いします。

 難しい問題ですね。特効薬はないと思いますが、次のように地道に対応することが必要でしょう。

1. 残業のルールを明確にする。
 残業の必要な時どのような手順で残業の指示・申請・承認を誰が行うのか。

2. 行った残業に対しては必ず残業代を支払うことを明確にする。
 行ってしまってから、後で残業時間や金額をカットするのは絶対ダメ。(法律上はもちろん、この後記述する残業削減の対策上の悪影響を与える)

3. 管理職に対して、部下指導や部下の管理、仕事の管理など、管理職としての役割を自覚させ、またそれを実行するための方法を教育する。
 (時間がかかるが継続して実施する) 仕事の与え方や残業管理を徹底させ、必要のない残業はやらせないことを実行させる。さらに、必要な残業を仕事の配分方法の改善や部下指導により減らすようさせる。

4. その上で、管理職に対して、残業を減らすことが自分たちにメリットがあるような仕組みを導入する。
 部門内の残業時間の削減目標をとか、単位時間当たりの仕事量の向上を目標にし、達成すると評価がよくなる仕組みにする。これは教育とセット行って意味があるのであり、教育せずにただ評価に反映するでは、逆に反発を招くことがある。

5. 残業時間を減らした方が自分にメリットがある仕組みを導入する。
 時間短縮のための改善案や工夫を推奨し、評価(お金)に反映する。 部門やグループとして時間短縮や残業を削減したら、評価(お金)に反映する。

6. 評価制度と業績連動賞与の導入により、業務改善をして残業を減らし会社の業績をよくすれば、結果的に自分の収入も増えるということが、目に見えてわかるようにする。
 残業を減らすことが労使ともにメリットがあるということをわかるように教育する。

 参考 → 残業問題の解消

 

 
    160.賃金抑制したい  
     管理職の賃金について、職能資格制度を基本に成績の良い人は、プラス3万円〜ゼロ円を加算していますが、その結果、青天井で賃金が上がって行きます。成果主義賃金制度を導入して、管理者のモチベーションを上げながら、これ以上の人件費高騰を抑えて行きたいのですが?何かいい方法は?

 成果主義賃金制度を導入することが、管理職のモチベーションを上げることにつながるかどうかは別にして、成績ごとに上乗せしていいらっしゃるのであれば、それが良いと思います。

 あとは、その成績の整合性をどのように高めるかという点と、上乗せした賃金は、「洗い替え方式」で運用するようにすることです。

 成績がその年(前年)良かったのであれば、その年(翌年)だけ、その成績に応じた金額を上乗せするようにして、その次の年は一旦その分をゼロにした上で、翌年の成績でまた上乗せ額を決めるようにすればいいのではないでしょうか。 (もうそのようになっていましたら、ごめんなさい、「青天井で賃金が上がっていく」、とあったので)

 人件費高騰を抑えて行きたいのであれば、積み上げ式の賃金体系を止めて、洗い替え式の多賃金体系に替える(少なくても管理職は)あとは、積み上げ式であっても各等級毎の上限金額(上限号俸)を決めておき、昇格しないと、それ以上は上がらない仕組みにする。(非管理職)などが考えられます。(いまの職能資格制度を大幅に変えないで前提で考えれば)

 以上、よろしくお願いします。