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  評価の基本2

 
   

 6.情意考課の仕方

 
   

1.情意考課の基準
 情意考課の基準は等級定義や職能要件書に基づき、その期のはじめや期中に上司が部下に対して期待し要求したレベルです。一般的には、等級が同じであれば情意考課の基準も同じです。
情意考課は組織の一員としての自覚(マインド)のことであり、仕事への取り組み姿勢態度などで判断します。
 

2.情意考課における標準B
 情意考課は取組姿勢・態度をみるものであり、いつも期待通りで標準Bです。3回手抜きをしたが、4回一生懸命したからそれで帳消しというわけにはいきません。いつも一生懸命が標準Bであり、手抜きがあれば、期待水準以下と判定せざるを得ません。

3.規律性の標準B
 規律性に関する期待通りは、いつも規則を守って欲しいです。したがって、いつも規則を守ってBと判定できます。守ったからAではありません。
 通常、規律性は規律を守って当たり前Bですから、規律性でAということは発生しません。

 4.責任性の標準B
 責任性に関する期待通りも、いつも責任を持って、一生懸命取り組んで欲しいです。したがって、いつも一生懸命取り組んで、Bと判定できます。

 5.協調性の標準B
 協調性に関する期待通りは、いつも協調性を持って取り組んで欲しいですが、自分の仕事を中途半端にしてまでということではありません。協力要請を断っても、自分の仕事が忙しい場合は、Cと判定はできません。この場合は、協調性に関しては不問です。協調性はあくまでも、自分の責任を果たした上で、評価されます。

 6.積極性の標準B
 積極性は自ら進んで行う意欲のことで、プラスαの部分ですから、どの程度のプラスαを期待しているかが基準になります。

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 7.成績考課の仕方

 
   

1.成績考課の基準
 成績考課の基準は等級定義や職能要件書に基づき、その期のはじめや期中に上司が部下に対して期待し要求した業務の結果レベルです。
 等級が同じ、職種が同じであっても、成績考課の基準は個々ちがいます。
 成績考課の大原則は、中間項の状況にかかわらず、「結果をありのままにみる」です。したがって、中間項の状況によって、ある程度偶然性をもつことになります。 

2.職務基準の設定
 
目標面接で業務目標や育成目標・修得目標・自己啓発目標などを設定し、その期待水準と難易度(等級と比較して1ランク以上高いか低いか)、そして各項目別のウエイトを明記し、上司・部下ともに確認しておくことが必要です

3.各目標ごとに評価する。[ありのままの評価]

4.チャレンジプラスワンを加味して修正する。

5. 加重平均

6.成績考課の留意点

 成績考課は達成度を評価するものです。したがって、職務基準(はじめの期待水準や目標レベル)が低いほど有利になります。ですから、成績考課では職務基準の設定が非常に重要になってきます。

 成績考課(達成度)            業績考課(貢献度)

結果目標

期待以上

期待通り

期待以下

業務支障

 

結果目標

期待以上

期待通り

期待以下

業務支障

高い目標

 

高い目標

標準目標

 

標準目標

低い目標

 

低い目標

DD

(目標は職務と置き換えてください)

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 8.能力考課の仕方

 
   

1.能力考課の基準
 能力考課の考課基準は、いかなる場合も資格等級レベルの全社的な共通標準である職能要件書の内容になります。等級と職種が同じであれば、能力考課の基準も同じです。

 能力は成績によって把握されますが、下図ように中間項によってはストレートに結びつかないことがありますので修正すると同時に、能力以上の成績がでるような環境を作ることが大切です。 

能力考課

 

(中間項)
情意考課
命令・指示
援   助
仕事のレベル

 

成績考課

2.中間項の存在
  
a. 外部条件とは
…景気の動向、気候、戦争、得意先、同業他社など
  
b. 内部条件とは
…指示命令の明確さ、管理体制、仕事のレベル、支援体制など
  
c. 本人条件とは
…事故、病気、意欲など 

3.能力考課ができない場合   

成績考課

中間項

能力考課

B以上

等級と比較して仕事自体のレベルが低い

出来ない

C以下

等級と比較して仕事自体のレベルが高い

出来ない

やろうとしなかった(責任性D)

出来ない

4.その他の注意点

 

 
   

 9.評価の段階

 
   

 人事考課の評価の段階はSABCDの5段階とし、各考課要素ごとに判定します。
段階の目安は、次の表の通りですが、標準Bの水準をしっかりとらえておくことが必要です。

1.標準Bの考え方
 他の人と比較して平均的だからBということではありません。
 Bは平均ではなくて、標準であり、期待通りという意味です。

2.段階の目安一覧表

 定義

成績考課 

情意考課

能力考課

上位等級としても申し分ない。 仕事の結果が期待以上であり、期待水準そのものが1等級以上高い。

該当しない。

上位等級の能力が十分ある。上位等級の仕事をおこなう能力が十分ある。

申し分ない。期待水準を越える。 仕事の結果が上司の期待以上であった。

 取り組み姿勢が完璧で、見本になった。 

 資格等級に見合った能力が十分ある。

B 

標準。ほぼ期待通りである。 仕事の結果がほぼ上司の期待通りであった。

 取り組み姿勢が上司の期待通りであった。

 ほぼ資格等級に見合った能力がある。

もの足りない。期待水準に満たない。 仕事の結果が上司の期待以下であった。

取り組み姿勢が上司の期待以下であった。

資格等級に見合った能力が不足している。

Cでさらに、業務に支障があった。 仕事の結果が上司の期待以下で、業務に支障があった。

取り組み姿勢が上司の期待以下で、業務に支障があった。

等級に見合った業務でも支障をきたす程度の能力である。

3.AとSの考え方
 Aは他の人と比較して、良いからAということではありません。あくまでも、基準と比較して、その水準を超える場合がAとなります。
能力考課においては、該当する等級にふさわしい能力が十分あり完璧であるということであり、成績考課においては、上司の期待以上の仕事を行ったということです。また、情意考課においても、上司の期待以上の勤務態度であり、他の人の模範になったということになります。

 SはAのさらに上と単純に考えるわけにはいきません。
能力考課においては、該当する等級にふさわしい能力が十分あり、さらに1等級上の能力も十分あり完璧であるということでAの延長線上にSがあると考えられますが、成績考課においては、上司の期待以上の仕事を行ったというAの定義から考えると、期待以上はどこまでいってもAということになります。

 成績考課のSは、基準そのものが1等級以上高く、その基準に対して期待以上の仕事を行った場合が該当します。情意考課については成績考課と同じに考えますが、Aがすでに完璧で他の人の模範になるくらいで、それ以上は考えられませんので、Sは通常該当しません。

4.CとDの考え方
 Cは他の人と比較して、悪いからCということではありません。
あくまでも、基準と比較して、その水準に満たない場合がCとなります。
能力考課においては、該当する等級で求める能力が不十分で、該当する等級に対応する業務がかろうじて出来る程度ということであり、成績考課においては、業務に支障はなかったが、上司の期待に満たない仕事しかできなかったということです。
また、情意考課においても、業務に支障はなかったが、上司の期待に満たない勤務態度であったということです。

 DはCのなかで、さらに、該当する等級に対応する業務ができなかったり、業務に支障があった場合が、該当します。

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 10.人事考課と評価の違い

 
   

 人事考課と評価を区別して考える必要がある。
評価とは「物の善悪・美醜などを考え、価値を定めること。」と辞書に書いてあった。
人事考課とはその評価の中で「仕事上の行動や結果、能力を評価すること」である。

 仕事をする中で、誰をどのように評価するかということは、基本的に自由であり、気に入ったとか、ウマが合うとか、いろいろあるであろうが、基本的にどう思うかは自由である。
そして、それにあった付き合いをすればよいことである。
自分にとって都合がいい人、都合よく対応してくれる人が、よい評価になるので当然のことである。

 ただ問題は、そのような個人の判断で、企業で行う人事考課を行ってしまうことある。
人事考課と評価とは別物である。
年に2回か3回、人事考課を行う時は、そのような個人的な判断ではなく、決められたルールと基準で行うことが「人事考課」なのだ。それを混同してしまうから、ややっこしくなるのである。

 人事考課は一定のルールと基準によって仕事上の行動や結果を評価することであって決して人物評価や好き嫌いの評価ではない。

 例えば、病院の先生が「血圧はかなり低いけれど、私好みの人だから、今日は健康ということにしておきましょう」と診察したら、誰も相手にしない。
仕事のできない人に「仕事はできないけれど、俺とお前の関係だからAと評価したよ」ということは、上記の病院の先生と同じことを言っていることになる。そんな上司は誰も相手にしないはずである。(それで喜ぶ人もいるが・・・)

 でも現実は、そのようなルールや基準によって判断するのではなく、考課者の好き嫌いや、価値観や、自分に都合のよいと思われる評価付けになっているケースが多い。
だから、会社に仕事をしにきているはずなのに、仕事よりは上司にうまく取り入った方が評価がよかったり、要領のよい人が出世したりする。
 そしてその要領のよさで出世した人が、また、部下の評価をするわけだから、同じことの繰り返しになってしまう。
 これを続けたらいずれ企業は消滅してしまうであろう。

 人事考課する前に、人事考課のルールと基準を明確にすることが大前提である。
これをしないで、人事考課するから「単なる評価」になってしまい、逆効果となってしまっている。
 まず、人事考課制度のルールと基準を明確にすることが、人事制度構築の成功の秘訣である。

(それから、評価する人の意識改革も必要)

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